
“カリフォルニアから来た娘症候群“という言葉があります。まるで世の中すべてを知っているかの如く自意識過剰な振る舞いで久々に帰省したその娘は、年老いた家族と医師の合意をひっくり返し、「もっといい方法があるの私知ってるよ?」「あんな医者に任せてたらダメ」と終末医療の方針に口だけ出してかき乱す—。なんで”カリフォルニアから来た”娘なのかって?それはもちろん、カリフォルニアにはこの世の全てが存在するからに他なりません。
ビッグIT企業も、映画業界を筆頭とした世界的ショービジネスも、大谷翔平の自宅も。—この世のキラキラ全てを形作り、この世の全てが存在するカリフォルニアで生活すれば、そりゃあ世の中知ったような口の利き方になってしまうのも無理はありません。カリフォルニアの愛称”ゴールデンステート“—ここは21世紀の今もなお、黄金時代が続いているのですから。
アメリカントラックシミュレーターで最初から入っているマップのひとつである西海岸の最強州”カリフォルニア“をじっくり見てみましょう。
金(きん)の次は金(カネ)を掘れ!一発当てたきゃカリフォルニアに来い!

カリフォルニアの繁栄は、19世紀中ごろ金の採掘で人が集まった(1849年に殺到したので”フォーティーナイナーズ“と呼ばれます)ゴールドラッシュに始まります。このとき農地としても使えることがわかったサクラメント川一帯の湿地を開墾する際、ぬかるみでも活躍できる無限軌道をもったトラクターを発展改良させたのが、現在では建機重機のトップ企業となったキャタピラー社です。
金はすでに掘り終えたと思われていたカリフォルニアですが、20世紀初頭に新たな金脈「映画産業」が花開きます。


ロサンゼルスの脇を通るUS 101から北方向を向くとハリウッドサイン、じゃなくて”トラックサイン”が見えるよ
その当時、映画産業は文化の中心ヨーロッパと近いアメリカ東側が中心でした。発明王で知られるトーマスエジソンは「映画の父」としても有名で、映画に関する様々な権利を持っていたのですが、訴訟もいとわぬ権利行使を鬱陶しく思っていた当時の映画人たちは、エジソンにバレないようにはるか遠く西側のハリウッドで自分たちの映画を作り始めたのです。なによりこの太平洋側の乾燥した大地は、一年を通してほとんど雨が降らないことも映画撮影にとって都合がよかったのでした。こうしてエンターテイメントの大金脈”ハリウッド”によって、カリフォルニアにふたたびゴールドラッシュが訪れるのです。
写真を撮るならココ「ゴールデンゲートブリッジ」脇のシークレットルート


カリフォルニアの繁栄を語るうえで外せないのがサンフランシスコの存在です。自然港である地形を生かして、交易の中継地点としても歴史があるこの場所はアジアとのつながりも深く、19世紀のゴールドラッシュ時には一山当てたい中国系移民が一気に増加しました。次第に白人労働者の中で反感が高まり、サンフランシスコはアメリカの中でもかなり早い段階で中国人排斥運動が行われた歴史があります。サンフランシスコやロサンゼルスのチャイナタウンはそうして迫害を受けてきた中国人たちが自分たちを守るためのコミュニティ・エリアの役割も果たしてきました。


サンフランシスコの坂道に停めるときは前輪を縁石に向けとかないと違反金とられるよ!(現実の話です)
そしてサンフランシスコといえば、いや日本人にとってアメリカと聞いて思い浮かぶ光景の上位に間違いなく入るのがゴールデンゲートブリッジでしょう。路面電車が走る坂道に並ぶビクトリア様式の住居、そして真っ赤なゴールデンゲートブリッジ。ドラマ「フルハウス」を観てアメリカの生活に思いをはせた方も多いんじゃないでしょうか。


ゴールデンゲートブリッジ南側のシークレットルートを通じて、軍事要塞”フォートポイント“で写真を撮ることをオススメします。かつて南北戦争の際に南軍はここから上陸すべく、軍艦シェナンドーでサンフランシスコの攻撃を計画します。しかし時すでに遅し、港へ向かう途中、既に戦争が終わって2か月も経っていたことに気付き、降伏します。歴史的背景を遅刻の言い訳に使えそうなので、待ち合わせの場所にピッタリですね。
カリフォルニアでオススメしたい仕事
品名 | トレーラー種類 |
フルーツジュース | フードタンク |
ドライフルーツ | ドライバン、コンテナキャリア等 |
ブドウ園の仕事は”mon␣”(スペースを入れる)で検索を掛けると出てくるMON COEURで探してみてください

カリフォルニアの固有実績” Cheers! “の解除にはカリフォルニアの4つのブドウ園で仕事を請ける必要があります。この中にはシークレットルートが存在するワイナリーがあり、ここを通るとブドウ園を一望できる大変素敵な景色が広がります。



カリフォルニアのような乾燥した温暖な気候に恵まれたアメリカ諸州は”サンベルト“とよばれており、映画の撮影だけでなくブドウ栽培にも適しているため、アメリカンワインの8割超がここカリフォルニアで生産されています。
ワインといえばフランス・イタリア・スペインが有名ですし、”ワインはヨーロッパの酒”というイメージは今も強いです。かつてのカリフォルニアワインも所詮はアメリカ産、と高をくくられていたのですが、アメリカ建国200年を記念して1976年にフランスワインとのテイスティングコンテストが行われた際、なんと名だたるフランスワインを蹴散らしカリフォルニアワインが優勝してしまいました。”パリスの審判“と呼ばれるこの衝撃的な事態に納得がいかないワイン業界人たちは「アメリカの審査員の八百長」だの、コンテストの主催者を追放したりして騒いだのですが、それくらいこの出来事はカリフォルニアワインの評価を衝撃的に世界へ広めるきっかけとなりました。
品名 | トレーラー種類 |
電子部品 | コンテナキャリア |
シランガス | コンテナキャリア |
サンフランシスコ南部一帯は”シリコンバレー”とよばれる、情報産業を新時代の金脈としてイノーベーションを起こし続けるIT企業が集中したエリアです。大企業の城下町と聞けば周辺地域への経済的恩恵が大きいように感じますが、ポストコロナによるRTO(リモートからオフィスへの回帰)の影響もあって家賃高騰は青天井、サンフランシスコはもはや普通の人が住めるような場所ではなくなってしまい、ホームレスがあふれ治安も急速に悪化しています。そのためサンフランシスコは現在”Human Waste map”とか”Poop map”で検索すると出てきますが、人のうんこであふれています。AppleやGoogleの高給取りが毎月車が買えるような家賃補助を受けながらベイエリアで涼しい顔をしているそばで、家主の立場が圧倒的に強いため即刻退去させられ突然ホームレスになってしまった人々が薬に溺れ路上でうんこせざるをえないこの町は、それでもなお21世紀の世界最先端をいくゴールドラッシュに沸いています。

そもそもシリコンバレーは直接の製造と無関係な拠点が多いのですが、せっかくなのでそれっぽい貨物を運びながら、ベイエリアのクソ高い家賃をよそ目に人糞がほのかに混じる潮風を感じてトラックを駆けるのもいいんじゃないでしょうか。
カリフォルニアのキーワードまとめ
ゴールデンステート | カリフォルニア州の愛称”黄金州” |
フォーティーナイナーズ | 1848年に金が見つかり、翌49年に殺到した人々の総称 |
キャタピラー社 | 無限軌道を備えたトラクターを発展させ、世界的な建機メーカーとなった。”キャタピラー”は同社の商標。 |
ハリウッド | 東で荒ぶるエジソンに嫌気がさした映画人が西で作り上げた映画の楽園。 |
チャイナタウン | 増えすぎた中国人移民に対し唯一土地の売買が許されたエリアからはじまった移民街。 |
フォートポイント | ゴールデンゲートブリッジの南に位置する軍事要塞。 |
アルカトラズ島 | “脱獄不可能”な孤島の監獄。アル・カポネなどの大物犯罪者が収監されていたことで有名。 |
サンベルト | 温暖な気候で農作物の生育に適した北緯37°以南のエリア。カリフォルニアワインに欠かせないブドウの栽培に適している。 |
パリスの審判 | カリフォルニアワインがフランスワインを下す=世界一のワインとなった出来事。フランス人はいまだに納得してないと思う。 |
シリコンバレー | 世界的IT企業が集うサンフランシスコ南部一帯を指す。最近は治安が急速に悪化している。 |
“ラ・ラ・ランド”とは映画のタイトルにもなったロサンゼルスの愛称ですが、この呼び方にはなぜか人々を惹きつけ、夢を見せてくれるような期待と、それをあっけなく裏切る残酷さが二律背反となって含まれるようなニュアンスを感じます。かつてはゴールドラッシュを夢見て、映画やショービジネスでの成功を夢見て、そして現代社会でのイノベーションを夢見て人々が集まるこのカリフォルニアは、実は私自身もすごく思い入れのある場所です。調べれば、いやAIに聞けばなんでも教えてくれるこんな世の名でも、なぜか彼の地に行けば”なにかが変わる”ように思わせてくれるカリフォルニアの魅力が、今回の記事とゲームを通してみなさんに伝わればうれしく思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。