みなさんが今住んでいる都道府県を選んだ理由は何でしょうか。おそらく仕事や家族の存在、いや理由も無く生まれ育った街だから自ら選んだわけでもない、というのが大半の理由だと思います。
合衆国では州をまたぐと、別の国ではないかと思うほどルールや文化が変化します。“レフトコースト”と称され自由な気風あふれる西海岸の中でも、オレゴン州は特に「自分たちのことは自らの手で決める」自己決定権をなによりも大切にしています。自由に買い物をしたいので “消費税は0%”、 “一部のストリートドラッグを合法化” することで特定人種への差別を是正し、自分の最期は自分で決めたいから “医師による自殺ほう助を認める”—そしてこれらを実現するため、自分たちの生活にかかわるあらゆるルールを自分たちの手で直接決めていく住民投票制度“オレゴンシステム”が存在することで、党派や既得権益に縛られない民主主義が約束されています。
この記事ではマップDLCを通じて、真の自由を追い求める理想郷“オレゴン”をご紹介します。
常にアゲアゲ上昇志向なリベラル海派 ”西オレゴン”
オレゴン最大の都市であるポートランドは、1845年に南米大陸を周り太平洋側からやってきたニューイングランド(アメリカ北東部の6州)の宣教師や商人によって作られた街です。彼らはここを拠点に太平洋の向こう側—アジアに向けて貿易することを目指していました。
ニューイングランドの人々は“啓蒙思想”という、「伝統や信仰よりも、人間の権利や理性を大事にする」考え方をもっていました。さらに、特定の場所に収まらず新たな世界を目指してチャンスをつかもうとするアメリカ商人魂がこれに掛け合わされることで、なんでも自分たちで決めて前へ進んでいく西オレゴンの気風が形作られることになります。
太平洋に面したコロンビア川沿いに位置するポートランドは、港湾都市として大いに栄えていきます。太平洋戦争中は日本と戦うための戦艦を建造する造船拠点としても選ばれました。余談ですが日本軍が潜水艦搭載の偵察機で空襲したり、風船爆弾を使って米国本土を唯一爆撃した場所がオレゴンです。


ポートランドを走っていると、歴史的な橋がたくさんかかっていることに気付きます。この街はコロンビア川とウィラメット川、大きな2本の川に挟まれているため、多くの橋が建築されてきました。そしてこれらの古い橋は、上下に昇降したり回転するなどして、河川交通の妨げとならないように設計されています。この背景には、大量の木材を山から切り出し、川を使って運び出す東オレゴンの林業従事者達の存在がありました。
西とは真逆の保守的な山派 ”東オレゴン”
自由な気風が特徴的な西オレゴンに対して、オレゴンを東西に分割するカスケード山脈を挟んだ東オレゴンは保守的だとされています。西オレゴンの人々は海を渡ってやってきましたが、東オレゴンの多くは“オレゴントレイル”と呼ばれる陸路からやってきた人々でした。
オレゴントレイルは、西のミズーリ州から東のオレゴン州へ通じる馬車道の名称です。西端のミズーリはハートランドと呼ばれるアメリカの中心部で、ここから農業・林業知識が豊富なドイツ系・スカンジナビア(北欧)系移民が移り住んできました。現在でもオレゴンは林業分野において全米有数の規模を誇り、州の愛称は“ビーバーステート(ビーバーの州)”と呼ばれています。

オレゴン州の林業貨物を扱うなら“フォレストマシナリーDLC”も一緒に揃えるのがオススメ!
彼らハートランド出身の農家たちは、未開拓の土地を最低5年農地として活用すれば自分の土地に出来る“ホームステッド法”を理由にやってきた—連邦政府のルールに従ってやってきた移民たちです。常にアゲアゲ上昇志向で太平洋の向こう側を目指す西オレゴンの人々とは対照的に、東オレゴンは自分たちの手で切り開いた農地を守り続ける保守的な考え方を持つ人々ばかりでした。
こうして現在に至るまで、“リベラルな西オレゴン、保守の東オレゴン”という対極的な価値観がオレゴンには存在しており、大統領選でもその結果は明白1です。それでも、目指す先が太平洋の向こう側であっても、深く険しい森林の奥深くであっても、“自分で決めた道(目的)を自分の力で切り開いていく”強い意志がオレゴンを成長させたことは共通しています。
オレゴンでオススメの仕事
トラックシミュレーターなんだからマストで “ダイムラートラックグループ”

オレゴンにはフレイトライナーやウエスタンスターを傘下とする“ダイムラートラック・ノースアメリカ”の本社があります。ポートランドにウェスタンスターの最終組み立て工場があるので、ゲームタイトル的にもマストで立ち寄ってみましょう。

中でも出来立てホカホカのWSトラックを串団子のように3台重ねた状態で工場から出荷する仕事がオススメです。ライバル企業のトラックで搬出するという常軌を逸したロールプレイが楽しめるのもゲームならではです。
ナイキ、アディダスが生まれたオレゴンで “衣類” を運ぼう
オレゴン発の企業でダントツの知名度を誇るのが、あの世界的企業“ナイキ”です。ある意味で日本人にとって一番身近なアメリカ企業ではないでしょうか。あのロゴマークなんて小学生がノートに真似書きするアメリカ企業のアイコンでマクドナルドと1位タイでしょう。

とはいえオレゴンに製造工場があるわけではないのですが、オレゴンで運ばれる衣類は確認するまでもなくナイキの製品に間違いないでしょう。でも実はライバル企業のアディダス米本社もまたオレゴンにあるので、どちらであっても気まずくならないようにあいだをとってミズノの靴でも履いて荷受けしに行きましょう。
“鮮度が命の野菜に命を懸けろ” 野菜輸送でキャベッジヒルを駆け抜けよう

オレゴンの北東部に位置するI-84、具体的にはペンドルトンの東側に位置する急勾配かつ激しく曲がりくねった区間、通称“キャベツの丘(Cabbage hill)”を野菜輸送しながら走ると “Cabbage to Cabbage” という実績がアンロックされます。

この道はかつてのオレゴントレイル時代から難所として知られており、急勾配とヘアピンカーブが連続する構造からインターステートとなった現在でも事故が絶えません。そのためキャベツの丘にさしかかる手前には秤量所を設置し足回りの不調を事前に検査したり、ブレーキが故障した際に突入して強制停止が出来る緊急待避所が要所ごとに設置してあります。

ニューメキシコには全米最悪の事故率で知られるUS666が存在しましたが、心理的な要素が大きかったUS666に対してキャベツの丘は道路の構造そのものが事故の原因ですから、ある意味最も危険で難易度が高い道路といえるかもしれません。
“悪魔のハイウェイ”US666についてはこちらニューメキシコの記事をご参照ください。

キャベッジヒルには道の脇に砂利が敷き詰められた行き止まりの上り坂があります。ここは“緊急退避所”と呼ばれる場所で、ブレーキ故障等で制御不能となった車両をこの上り坂へ突入させて強制停止させるために存在しています。ここに敷き詰められている砂利、粒径が小さすぎると雨で流されたり排水が追い付かず、逆に大きすぎると車両や乗員への二次被害が出てしまうため、最適なサイズを算出するため様々な実験が重ねられた2そうです。その結果、粒径が約1/2~3/4インチ(約13~19ミリ)の砂利であれば80マイル(約128km/h)で大型トラックが突っ込んでも安全に停止できることが結論付けられたとのこと。それでも休憩所だと間違って進入する車両や、興味本位で走り回るアホのせいで定期的な整備は欠かせないようです。

“消費税0%” オレゴンのスーパーマーケットで馬車馬のごとく働こう
アメリカではSales Taxという、日本でいう消費税に相当するものを各州が自由に決めることができます。オレゴンではそれがなんと0%、つまり消費税が0%です。ちなみにお隣のカリフォルニア州だと約9%ですので、物価高の昨今では当然州をまたいでオレゴンでお買い物する隣州住民も多いようです。
東京だと消費税が10%かかるのに、千葉県へ行くと0%になるとしたら都民はどうするでしょうか。週末のイオン幕張新都心は戦場と化すでしょう。オレゴンでは幸いそうした光景こそ生まれませんが、大型量販店に深夜から早朝にかけて時間厳守で荷下ろしするリージョンドライバーのロールプレイをすると楽しいかもしれません。

楽しい……楽しいかな?
オレゴン州まとめ
| ビーバーの州 | オレゴン州の愛称 |
| オレゴンシステム | 住民による直接発案・立法等が可能な投票制度 |
| ストリートドラッグ非犯罪化 | 全米初の試みとなったが賛否が激しく分かれている |
| 消費税0% | お隣の州から買い物だけ済ませに来る人も多い |
| 医師による自殺ほう助合法化 | いわゆる安楽死が認められた全米初の州 |
| 啓蒙思想 | 伝統より理性を重んじる考え方 |
| カスケード山脈 | リベラルな西オレゴンと保守的な東オレゴンを隔てる山脈 |
| ダイムラートラック・ノースアメリカ | フレイトライナー、ウェスタンスターを傘下に持つ |
| キャベツの丘 | 急勾配・急カーブ・悪天候が重なる事故多発の難所 |
| ナイキ・アディダス | 世界的スポーツ用品ブランドが本社を構える |
戦艦を建造するような巨大港湾都市がある一方で、ビーバーの州と呼ばれるほど林業が盛んな一面もあり、住民の考え方もリベラルな西オレゴンと保守的な東オレゴンとこれまた両極端な二面性を持つオレゴン州を今回はご紹介しました。みなさんがもしオレゴンに住むとしたら、どのエリアが性に合っているのか想像しつつトラックで走ってみてはいかがでしょうか。
今回の記事はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございました。
趣味はシミュ 