【マップレビュー#4】”ニューメキシコ”—その道は、王道へ続く【アメリカントラックシミュレーター】

アメリカントラックシミュレーターのオンラインポータルサイト”World of Trucks”で個人プロフィールを編集すると、自分のトラックに取り付けるカスタムライセンスプレートを作成することが出来るのですが、

そこで“ニューメキシコ州”を選んでみると、奇妙なことに気付きます。アメリカ50州のライセンスプレートで唯一“USA”と明記されているのです。

アメリカ人にとって州の認知度が低く、現地の住民も「ここはアメリカです」「メキシコではありません」と自虐的に語ることが多いニューメキシコですが、本当に地味な場所であれば州の愛称に“The Land of Enchantment”(魅惑の地)と名付けられるわけがありません。

今回は、有料DLCマップとして最初にリリースされた“ニューメキシコ州”をご紹介します。

学問に王道なし、ニューメキシコに王道”あり”

ニューメキシコ州はその名が示す通りかつてのメキシコ領地であり、さらにそのメキシコがスペイン帝国(ヌエバ・エスパーニャ)から独立した歴史があるので、人口比率も“全米一ヒスパニック系が多い州”となっています。スペイン帝国が新大陸へ進出してきた際、移動手段として持ち込まれたのが馬でした。新大陸において氷河期以降馬は絶滅していたので、野生化したマスタング種なども含めてアメリカにいる馬はすべてヨーロッパから持ち込まれた子孫、ということになります。

サンタフェにある合衆国最古の教会”グアダルーペ教会”

新大陸におけるスペイン帝国領地ヌエバ・エスパーニャの首都がメキシコシティだったので、当然ここから道路網も整備されていきます。一番楽ちんな方法のことを一般的に“王道”と呼びますが、これは王様が通る綺麗で最短の道路“Royal Road”からきた言葉です。旧帝国領地には何本かの王道が存在しますが、州都としてアメリカ最古の歴史を持つ“サンタフェ”には、ヌエバ・エスパーニャの首都メキシコシティへ通じる帝国直轄の王道“エル・カミーノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ”(エル・カミーノ・レアルがスペイン語で”王道”の意味)が今でも存在するなど、その歴史の深さを感じることができます。

ヴァケーロ像

アーティージアのこの位置にある

スペイン人は馬とともに牛も新大陸へ持ち込み、馬をたくみに操って遊牧生活を送っていました。彼ら牛飼いは“ヴァケーロ”と呼ばれ、後のカウボーイ文化はこのヴァケーロがベースになっています。カウボーイ文化が色濃く残るニューメキシコは西部劇の舞台としても有名な場所が多く、かの有名なアウトロー“ビリー・ザ・キッド”もこの地で暴れ回っていたことで有名です。

ビリー・ザ・キッド博物館。この前を通ると実績”1881″が解除される

US60をクローヴィスから西方向へ走る途中にある

ロズウェル事件

ロズウェルにいる宇宙人。街灯が宇宙人の頭になっているなど街を挙げて宇宙人推ししている

1947年—ニューメキシコ州アラモゴード陸軍飛行場(現ホロマン空軍基地)から飛び立った観測気球が240kmほど飛翔したのち、同州ロズウェル近郊の牧場に墜落してしまいました。時期が悪いことにその当時アメリカでは”空飛ぶ円盤”の目撃情報が世間を賑わせていたため、“UFOが墜落したのではないか”と噂されるようになります。さらにこの噂を加速させたのが、陸軍の広報官による”回収した残骸は空飛ぶ円盤だ”という発表でした。

ロズウェルのGrobal Millsから見える”隠れ宇宙人”

この角度から確認できる

陸軍がこうした陽動的なウソをついたのも、実はこの残骸が誰にも見られてはいけないものだったからです。この観測気球はソ連の核実験を秘密裏に観測するための秘密作戦”モーグル計画”で使われた偵察装置なので、宇宙人のせいにしてでも真実を隠す必要があったのでした。これがかの有名な“ロズウェル事件”の顛末です。

国際UFO博物館

アウトウェストと呼ばれるアメリカ西部というのはネバダ州エリア51のような広大な軍用地の存在や、どこか秘境めいたイメージが重なってUFOや宇宙人にまつわる事件や出来事が数多く存在しますが、その秘匿性の背景には核兵器をはじめとする軍事機密の存在があり、それは時として地元の環境や住民を犠牲にすることがあります。

ラスクルーセス東にある休憩所。ナイキ・ハーキュリーズミサイルの模型越しに見える眺望はホワイトサンズ試験場が含まれ、ここで世界初の原爆実験が行われた

ナイキミサイルトラックストップの場所

アラモゴードのホワイトサンズ実験場は世界初の原爆実験“トリニティ”が実施された場所ですが、その当時放射能について近隣住民への安全配慮は機密保持を理由に十分な形で行われることはありませんでした。東海岸の政治家が話を進めて、そのリスクをアウトウェストが負う構造—UFOだ宇宙人だと無邪気にはしゃげない地理的な背景もニューメキシコには存在しています。

ニューメキシコでオススメの仕事

“緊張感★★★★★”—アントノフの機内で荷下ろし

ニューメキシコのアルバカーキにあるUltimusで特殊な荷下ろしを完了させると、実績“Sky Delivery”が解除されます。ここではアメリカントラックシミュレーターにおいて数少ない“輸送機内への荷下ろし“が出来るのです。

上り勾配を後退するのでシンプルにむずかしい

ここより狭くて意地悪な荷下ろし場所はいくらでもありますが、そのへんの柱や壁と違って大型輸送機の機体に間違ってぶつけちゃうのは罪悪感も段違いです。これほど緊張感が味わえる荷下ろし場所は他に無いと思いますので、ぜひ挑戦してみて下さい。

“悪魔のハイウェイ”US491(旧US666)を無事故無違反で走り抜ける

旧US666のニューメキシコ区間には”シップロック”と呼ばれる観光名所がある

奥に見える切り立った岩山がシップロック。帆船の形に似ていることから名付けられた

ファーミントン南側のこのあたりから見える

その区間の大半がニューメキシコ州内にあるUS491は“とある恐ろしい理由”で国道番号が変更となった歴史があります。ここは2003年まで国道番号が“666”だったために“悪魔のハイウェイ”と呼ばれていました。

赤線が”悪魔のハイウェイ”旧US666。区間の大半がニューメキシコにある

心理的な不安要素が大きかったのだろうと思いますが、実際にニューメキシコ区間は事故率・死亡率が異常に高い悪評だらけの道路だったのです。

US666の母線US66は現在歴史的旧道として残っており、ニューメキシコの”隠しルート”には→

走ると曲を奏でる”ミュージカルロード”があり、”アメリカ・ザ・ビューティフル”という愛国歌謡の一節が聴ける

I-40をアルバカーキから東へ向かう途中の抜け道に存在する

そもそもマザーロードとして有名な“US66”(いわゆるルート66)の6番目の支線として存在していましたが、1985年に母線であるUS66が無くなってしまったので、それならば”US91の4番目の支線”ということでどうですか、と交通局から提案され、悪評を払しょくする目的もあって2003年に国道番号がUS491へと変更になりました。

↓↓ アメリカの道路について詳しい記事はこちら ↓↓

それでもUS666がなくなることが決まった途端、物珍しさからUS666の標識が盗まれまくってebayに出品されるなど、最後の最後までトラブルだらけだった道路なのですが、この区間を走る際はくれぐれも安全に気を付けながら、無事故無違反で走り抜けて下さい。

“ニューメキシコ”まとめ

“USA”が明記されている
唯一のライセンスプレート
州名だけでは外国だと思われがち
The Land of Enchantmentニューメキシコの愛称「魅惑の地」
全米一ヒスパニック系の人口が多い州旧メキシコ領だった影響が大きい
サンタフェアメリカ最古の歴史をもつ州都
エル・カミーノ・レアル
・デ・ティエラ・アデントロ
[El Camino Real de Tierra Adentro]
スペイン帝国時代の”王道”で、メキシコ側は世界遺産
ヴァケーロ[Vaquero] カウボーイ文化のベースとなった遊牧民
ビリー・ザ・キッド伝説のアウトロー
西部劇のヒーローとして有名
ロズウェル事件UFOが墜落したとの噂で大騒ぎ
宇宙人解剖フィルムでも有名
トリニティニューメキシコで行われた世界初の原爆実験
US491(旧US666)通称「悪魔のハイウェイ」
事故率・死亡率が異常に高かった国道

合衆国本土で連邦加盟がアリゾナの次に遅く(1912年)、州名にも”ニュー”がついているのでなんとなく新興の地に思われがちなニューメキシコですが、カウボーイ文化に大きな影響をあたえ、全米最古の名所がいくつも存在し、州内の世界遺産は全米最多で3つもあるのに、わざわざライセンスプレートに”USA”なんて入れなくても絶対記憶に残る場所だと思いませんか。この記事を通して、ニューメキシコを走ることがアメリカを理解するためのエル・カミーノ・レアル(王道)だと感じて頂ければ嬉しく思います。

今回の記事はここまでです。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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